九月末の荒野の冷気は、か弱いエミリーの体を痛めつけた。いつも毅然としているエミリーは、体の不調をかくすように黙々と家事を続けたが、次第に食欲もなくなり、咳もとまらず、顔色もいっそう悪くなっていった。そして最後の日となる一月一九日の朝、ひとりで、やっとのことで身支度して階下におりだが、ほとんど気力だけで自分を支えているといった状態だった。シャーロットが荒野で花を摘んでなぐさめようとしたが、もはやエミリーには、その花の色もわからなかった、といわれている。かけつけた医師も施すすべもなかった。午後二時ごろ、エミリーの息は絶えた。享年三〇歳であった。さらに五ヵ月後の一八四九年五月、アンが死んだ。やはり風邪をひいたのがよくなかった。姉妹のうちただ一人残されたシャーロットは、その後牧師補のニコルズと結婚、やがて妊娠していることもわかり牧師館にも久々に幸せな日々が訪れた。しかしパワーズの自然は二人をひきさいてしまう。夫と荒野を散歩している途中、雨でずぶ濡れになったシャーロットは、その時にひいた風邪をこじらせ死を迎えてしまう。