畳も押し入れも床の間も、家具的な要素を家に造りこんだしつらえです。では、ちゃぶ台は、座布団は、夜具の布団は何でしょう。針仕事をするときは、針箱を縁側にもち出したりしていました。玄関から部屋の中を見通せなくするために立てられた、衝立、屏風の類いは何でしょう。こんなのは家具とは言えません。道具という呼び名が適切です。家具というのは、そこにすえたらやたらには動かさないものです。ベッドとかソファの類いを指します。
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だから日本の昔の暮らしでも、箪笥の類いは家具でした。箪笥もすえたら最後、容易に動かすことはできません。部屋に家具を置かない日本の暮らしでは、箪笥の類いは部屋ではなく、納戸に置くのが通例でした。道具というのは家具ほどの大きさがなく、必要のあるときに出してきて、必要がなくなれば簡単に片づけられるものです。家具を置かないで暮らす暮らしの知恵が、さまざまな道具を発達させたと見ることができます。