金属でほとんど回収されないものといえば無機薬品が代表格だろう。これはやや意外な気もするだろうが、各種試薬には微量の金属が含まれている。代表的なのが亜鉛、タングステン、モリブデン、水銀である。これらの薬品は使用後、焼却処分され、焼却灰は特殊な例を除いて埋め立てられる。それなりにまとまった量が出ながら回収されない典型的な金属といえば錫だろう。これはブリキとパンダの材料になるのだが、カドミウムとともに塩化ビニールの安定剤にも使われるもので、一九九一年には二三三五トンがそのために使用されている(資源統計年表より)。塩化ビニールの安定剤に使われるこれらの金属は微粒子となって廃液の中に含まれている。この廃液は産業廃棄物処理業者に引き取られ、中間処理される。一般的には廃液をいちど塩素で酸性化し、そこに苛性ソーダを加えて中和することが多い。苛性ソーダとは化学的にいうと水酸化ナトリウムのことで、この中のナトリウム・イオンが酸と結合する性質をもっている。その過程で金属が遊離し、沈殿する。この沈殿物をフィルターで取り除き、脱水すると重金属や錫が高濃度で含まれた土状の物質となる。